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2021年IT企業の新入社員向け配属後調査


アイティ・アシストでは、私どもの新人研修を受講したIT企業の新入社員を対象にアンケート調査を行い、配属後に役立った研修や自分に足りていないと感じるもの、採用時にイメージした仕事とのギャップなどを伺いました。今回で4年目になります。
2021年の新入社員研修は、新型コロナの影響が続くなか、様々な形式で実施いたしました。対面、オンライン、ハイブリッドと、形式は研修内容やその時点の国内の感染状況を鑑みながら実施いたしました。
その研修が終わって配属されてから約3ヶ月が経過した時点で、新入社員の皆さんに各種状況をご回答いただきました。


≪調査概要≫

  • 調査期間:2021年10月5日~2022年1月13日
  • 調査方法:選択式/自由入力式
  • 調査対象:アイティ・アシストの研修を受講した2021年度入社の新入社員
  • ご協力いただいた企業:15社
  • 対象企業規模(社員数):
    ~  300名 4社
    300名 ~ 1,000名 6社
    1,000名 ~ 2,000名 2社
    2,000名 ~      3社
  • 対象者:512名 有効回答377名(73.6%)

 



Q.配属後に役立った研修を教えてください。(複数選択式)



2年連続”ビジネスマナー“がもっとも役立っている

新入社員研修を振り返って、もっとも役立っていると回答があったのは「ビジネスマナー」でした。2年連続です。
それ以前は「システム開発演習(チーム)」が連続1位だったのですが、ビジネスマナーが昨年に引き続きダントツの1位で56.2%の方が挙げています。2人に1人が「役立った」と評価しています。

2020年の配属後アンケートはこちら



ビジネスマナーは、感染対策を十分に行ったうえで、オンラインから対面形式に戻した企業が多く、そこの評価が高まっています。これは私どもの仮説になりますが、本来であれば採用活動時に学ぶマナーが、採用のオンライン化にともない機会を逃し、新入社員研修ではじめて学ぶ方が多かったのも影響しているかもしれません。お辞儀や会社訪問時などの対面マナーは、採用がオンラインの場合、気にしなくてよいですからね。

一方、オンライン形式でビジネスマナーを実施した企業の評価も落ちておらず、全体で昨年より3%ほど上がりました。私どものセミナーには、「オンラインでの立ち居振る舞い」の要素が含まれおり、オンラインで良い印象を与えるポイント(パネル、表情、リアクション)やマナー、オンラインでの話し方・聴き方、ツールの設定方法など、現在増えているリモートワーク環境下で求められるマナーや立ち居振る舞いまで含めて指導している点が評価されているのでしょう。実際「配属後のリモートワークで役立っている」「オンラインでの話し方が身に付いた」「先輩方が知らないオンラインツールの機能を教えたら、とても感謝された」のようなコメントがありました。

次には「システム開発演習(チーム)」と「プログラミング」が入りました。
システム開発演習(チーム)も対面形式に戻す企業が多く、その評価が上がり(戻り)、昨年の4位から順位を上げました。やはりチームメンバーと協力して、ひとつのシステムを開発する演習は、対面の方が学びが大きいようです。
またプログラミングはオンラインセミナーとの相性はよく、昨年の2位に続き、本年も高い評価を得ています。
多くの企業がオンラインで実施するなか、対面形式で実施した企業でもプログラミングではオンラインツールを活かして指導を行いました。講師と新入社員は同じ会場にいるのですが、演習に入ったらオンラインへつなぎ、講師がフォローする進行です。講師は理解に詰まった新入社員がいたら、そのPCの画面を共有してもらい、表示されたソースコードを見ながら講師がレビューやフィードバックを行いました。そうすることで、講師は新入社員の席に近づかないで、ソーシャルディスタンスを保ったままの指導が可能になります。これが本当のハイブリッド型かもしれません、笑。

その他、昨年から評価を上げたのは「研修運営プロジェクト」です。12% → 23%と10%以上伸びています。このプロジェクトはアイティ・アシスト独自の施策で、新入社員に研修の運営を任せ、その経験のなかで主体性や仕事の進め方を身に付けていただくものです。本年も対面、オンライン、ハイブリッドと様々な形式のなか研修運営に取り組んでもらい、育成担当者やコーディネーターからのフィードバックを通して、成長する姿が見られました。実際にこのプロジェクトに取り組んでいたのは全体の7割ぐらいの企業でしたが、それでも全体で2割以上の方が評価してくださっていてとても喜んでいます。




Q.配属後、自分に足りていないと感じるものは何ですか?(複数選択式)



「文章力」が足りていない

「文章力」が3年連続トップになりました。やはり現場で文章を書くことに苦労している新入社員が多いようです。SNSを使った(スタンプだけで成り立つ)コミュニケーションが中心で育った新入社員にとって、メールや議事録など文章力が求められるビジネスの現場は大変なのでしょう。さらに、リモートワークが増えるなか、文章によるコミュニケーションが増加傾向にあることもこの割合を押し上げているのでしょう。最近ではチャットを導入している企業も多く、ツールにあわせた文章力が求められています。そのような背景から新入社員研修中や配属後のフォローアップ時に、私どものビジネス文書(議事録や報告メールなど)の添削サービスを利用されるお客様が増えています。

担当者向け文章力強化についてはこちら



次に足りていないと回答があったのは、こちらも3年連続「プログラミング力・ロジック構築」でした。昨年からは5%ほど下がっていますが、それでも3割弱の方は、現場レベルのプログラミング力にはまだまだスキルアップが必要と捉えています。IT初学者の採用が増えている現状では、約3カ月間の研修期間で基礎を身に付けるところまでがやっとです。現場配属後も先輩による指導や勉強会の開催、自己学習によってプログラミング力の向上を図っていただけたらと思います。

昨年と比較して、変化があった項目としては、「チャレンジ精神」(+6%)、「積極性」(+5%)、「Office操作スキル」(+5%)、「ネットワーク」(+5%)です。なかでもチャレンジ精神と積極性の割合が高くなっているのは、少し心配です。アイティ・アシストの研修では、講師やコーディネーターから「失敗OK、チャレンジしよう」と常々伝えていて、新入社員が何か新しいことを進める姿を応援しています。私どもから見て研修期間中、新入社員のなかでもチャレンジの姿勢があり、積極的に見えていた方でも、この項目がまだまだ足らないと付ける方がいらっしゃいます。これも仮説になりますが、リモートワークという環境下では、自分から仕事を取りに行く、先輩に新たな提案をしてみるということのハードルが想像以上に高いのかもしれません。

次に「Office操作スキル」は、年々割合が増えている分野です。Excelやショートカットキーを教えて欲しいという声は大きく、これを受けて、アイティ・アシストでは、入社前教育や2022年度の新入社員研修のカリキュラムにOffice操作を加える企業が増えています。 もう一つの「ネットワーク」は、クラウドを指している場合が多く、現場でのAWSやAzureの利用が背景にあるのでしょう。

その他配属後に役立つ研修を聞いたところ、「GitHub」「Linux」「テストケース」「WBS」「Salesforce」などの技術系が並ぶなか、もっとも多かったのは「リモート環境下での上司や先輩とのコミュニケーションの取り方」でした。これも時代ですね。
あとは「メモの取り方」「効率的なネット検索の方法」がそれなりの数あったのも印象的でした。




Q.OJT担当者との関係性は良好ですか?(多肢択一式)



OJT担当者とは良好な関係

93%以上の新入社員が、OJT担当者との関係は良好と感じている結果となりました。本年から担当した企業の数値が高かった影響もあり、昨年から8%上がりました。その企業では、新入社員研修以外にもOJT担当者と新入社員がペアで受ける研修を実施し、両者の関係性構築や、今後のOJT計画を一緒に考えることで、その研修自体高い評価を得ました。その効果が全体の数値を押し上げにつながったと予想します。

OJTペア研修についてはこちら



良好以上を選択した理由を聞いたところ、

  • ・質問や相談がしやすい
  • ・リモートワークでも話す時間を頻繁に取ってくれる
  • ・いつも気にかけてくれていて、プライベートなことも話せている

など、OJT担当者側からしっかりコミュニケーションを取っているところに新入社員は良い関係だと感じるようです。
一方で「少し問題あり」以下を選択している新入社員や、「良好」を選択しながらもネガティブな理由には、

  • ・いつも忙しそうで、ちょっとした質問をするのに気が引ける
  • ・リモートワークでほとんど話す機会がない
  • ・年齢が離れているのでちょっとした雑談がうまくできていない
  • ・多忙な方なので、迷惑をかけたくないと思ってしまう
  • ・OJT担当者によって新人の成長に差が出る。OJTガチャ

が挙げられていました。






Q.実際に現場で働いてみて、採用時にイメージした仕事とのギャップを感じますか? (多肢択一式)




採用時にイメージしていた仕事より良かった

91%の新入社員が、採用時にイメージしていた仕事より、実際に働いてみて良かった、イメージ通りと感じています。

  • ・仕事にやりがいや楽しさを感じられている。自分たちの仕事がニュースに取り上げられたりする
  • ・採用時は黙々とPCに向かって作業するイメージだったが、チーム内コミュニケーションも多く、先輩もフランク
  • ・業務時間がしっかりと管理されていて時間外労働がないように徹底されている
  • ・新人でも意見を求められ、それを受け入れてくれる
  • ・配属先の方々はとてもやさしく、新人の成長を第一に自分で考える時間をとってくれる

などがその理由です。

一方で、イメージより悪かったと回答しているのは9%でした。こちらは昨年より4%下がりました。

  • ・事務作業が多く、あまりSEらしい仕事を行えていない
  • ・テストやドキュメント作成のような作業が多く、現状ではやりがいを感じられていない
  • ・入社前に聞いていた平均残業時間よりずっと残業している方が多かったため
  • ・コロナで仕方ない部分もあるが、対面のコミュニケーションが希薄で、配属後チームになじめず半年が過ぎた

などが挙げられています。

 


最後に ――――
オンラインに慣れた世代。その弊害?


本年で4年目となった新入社員の配属後アンケートでは、対面とオンライン、ハイブリッド型による学習効果の違いや、リモートワーク環境下で新入社員が感じていることなど、今回も興味深い結果になったのではないでしょうか。本アンケート調査結果が今後のエンジニアやIT企業で働く人々の育成の一助になれば幸いです。

本年度の新入社員は、学校の授業も、採用もオンラインという環境で入社を迎えた方がほとんどでした。急にオンライン対応を迫られた昨年度の新入社員よりも、さらにオンラインへの抵抗がない方々と、最初私どもはそう考えて準備を進めていました。しかし、蓋を開けてみると、オンラインが続いたことで逆に弊害のある方々が多いことに驚きました。

おそらく学生時代のオンライン授業は一方通行型のものが多かったからなのか、みずから話す機会がほとんどなかったのでしょう。そのためか、対面では発言をするのに、オンラインの大勢の前ではみずから発言しない、また自分から同期に話しかけるシーンも見られませんでした。つまり、オンラインでミュートを解除して、大勢の前で発言することへの抵抗感が大きく、自分から発言しない方が増えていたのです。 オンラインでも双方向性ある進行を重視しているアイティ・アシストのセミナースタイルに慣れてからは、発言が増えてきて、途中からはそれほど抵抗感がない印象に変わりました。

Zoomによるオンラインセミナー



あわせて、その異変に早期に気付いたコーディネーターが新入社員同士で自己開示するようなワークを入れたり、演習のチェックインなどを進行に加えるようにしたりして、新入社員同士の関係性を深めるようなきっかけ作りを積極的に行いました。すると休憩時間になると、誰かが声をかけてブレイクアウトルームで新入社員同士が雑談して仲を深めていくシーンが見られるようにもなりました。

アンケート調査で「チャレンジ精神」「積極性」が足りていない、「リモート環境下での上司や先輩とのコミュニケーションの取り方」の研修があったら役立つとの声が増えているのには、このオンラインの弊害が、もしかすると関連しているのかもしれません。

2022年度入社してくる方々は、約2年間オンラインの生活が続いています。本年度の新入社員以上にオンラインでの悪い癖がついている可能性があります(学校のオンライン授業のレベルが上がっていることを願いますが・・・)。すでに一部の方々には、入社前教育を通してお目にかかっており、その傾向があるのかどうかを直接本人たちに聞いてみたところ、多くの内定者の方が大きくうなずき同意していました、汗

2022年度に向けては、今回のアンケート調査結果に加え、上記のようなことも考慮して、新入社員研修の内容や形式、施策や指導方法などを検討しています。2021年度に続いて、形式としては対面、オンライン、ハイブリッド型とお客様によってそれぞれです。どのような形式になったとしても、担当する新入社員の皆様にとって、成長の機会となるよう研修準備を進めていく所存です。

最後になりますが、今回ご協力いただきました新入社員の皆様、育成のご担当者様には、心から御礼申し上げます。